一般教養−思い出コース

(長文ですのでオフラインをおすすめします)すめ!)

無謀なサーファー?

 風が来て各リーフポイントに波が立った話を聞くとサーフィンをやり始めた頃のことを思い出す。あれは私が本格的に波乗りを始めて3ヶ月ぐらいの時だった。当時九州で学生をしており私は波乗りをするために大学を選んだような友人(以後友人A)と私と同じ時期に始めた友人(以後友人B)と3人でいつものようにビーチブレイクのホームポイントに向かっていた。その日は低気圧が近づいていたらしく友人Aが「某リーフポイントを見て行こう」と言い出した。私も友人Bも始めて3ヶ月の初心者、内心リーフポイントなんて見ても入れる訳がないと思っていたが見るぐらいならいいだろうってことで車を止めてトコトコ歩き出した。するとそこにはW近いレギュラーのパーフェクトブレイク!ビデオでしか見たことのないような波。しかもサーファーは一人も入っていない。でも岩はゴツゴツ見えてるしインサイドもビーチが全くなく洗濯岩だし私と友人Bは完全にビビリまくっていた。その時、友人Aが「いける、いける!入ろうや!」とわけのわからんことを言い出した。人一倍負けず嫌いだった私は後で入らなかったことをバカにされたくないという気持ちとエキスパートでもある友人Aの言葉だけを信じて完全にビビリながらも入ることを決意した。そうなると友人Bも入らないわけにはいかなくなり結局3人とも着替えを始めた。

 友人Aが「変に踏ん張らんときや」なんて注意事項を言いながら海に入るがウニは踏むし、時々入ってくるうねりの度に足を切る感じがある。なんとなく入ったことをめちゃめちゃ後悔していたが何とかパドルが出来るとこまでいった。上から見ていたイメージとははるかに大きいうねりが入ってきてビビリ指数は100%でもまわり込めるので意外とアウトに出るのは初心者でも容易であった。友人Aは波を楽しんでいたが私と友人Bはテイクオフが出来るタイミングでもボトムを見るとビビリまくりでそれ以上突っ込めない。そんな状態が1時間程続いた時に一本も乗らずに友人Bがあがると言って岸の方へパドルを始めた。その時、私の中で今から乗れば友人Bには勝てるぞといういやらしい性格丸出しの気持ちと勇気のない自分への嫌悪感から生まれるパワーが一つになり「もう死んでもいいから乗ってやるー」という気になった。完全にやけくそでのりゃーと突っ込むがもちろんパーリング。パワーのあるショルダーはパーリングしても体が沈まず転げ落ちる感覚である。ところが私は生きていた。何だ死なないんだと思ったら調子乗りの私は何本か突っ込み、何本かそれなりに乗れた。(その頃、2名程友人Aの知り合いも入ってきた。)もの凄くご満悦だったその時、友人Aが「あがるんゃったら潮引いてきてるから気ー付けや」とまたわけのわからんことを言ってきた。そしてインサイドを見ると確かに入った時と様子が全く変わっており、時々、インサイドでも頭近いのがわれている。こりゃいかんこれ以上引けばあがれなくなるぞと思った私は友人Aに「あがる」と告げ岸へとパドルを始めた。そしてある程度インサイドまでパドルをした時に悲劇は始まった。もう海底の洗濯岩が透けて見えてるようなところにアウトから見ていた頭近いうねりがやってきたのである。私はとりあえずやばいと思って再度沖の方へ向かったがうねりのやってくるスピードは早く浅瀬からは出られない。「あーきたー!」とりあえずドルフィンをするが下の洗濯岩が気になって深く沈められない。「あー、」ブクブクブクブク、ぐるぐるぐるぐる・・・・・・しばらく流れのままに水中をさまよう。(友人Bの話だとこの時私のボードは魚釣りであたりのあるウキのようだったらしい)海面から顔が出るとそこには上部に手が届くのかってぐらいの大きな岩があった。そしてアウトを見るとさっきよりもでかいんじゃないのってうねりが入ってきていた。「死ぬー」マジでそう思った。あのパワーのある波で岩との間に挟まれたら本当に死んでもおかしくない。とりあえずこの岩を越えないと思いギザギザの岩の上部に手をかけ上がろうとしたらもうちょいってとこで何と岩がかけてしまったのである。(この時からは交通事故などを起こした時のようにスローモーション)もう、うねりはすぐそこまできている。私は傷レベルを気にしてる暇はなく渾身の力で再度上がろうとし何とか上がれたその瞬間、どうしようなんて考える間もなくせまってきていたうねりが岩にぶち当たり今度は反対側(岸側)へとたたきつけられとりあえず頭に手をやり再びブクブクブク、ぐるぐるぐる状態となった。ある程度岸に近く浅いってことはわかっていたのでこの時も間違いなく死ぬと思った。でも底に腰が当たったのはわかったが再び顔が水面から出てきたのである。しかも、岸までちょっとの距離で立てるような深さに・・・「助かったー、ふぅー」私はその時とにかく生きていることがうれしくてたまらなかった。板はボロボロ、スケッグは1コしか無く残りの一コもかろうじてぶら下がっているといった状態だった。怪我の方も幸い12月だったのでセミドライを着ておりウェットは傷だらけになったが外傷は手、足を多少切ったのと叩きつけられた時に腰をきつく打っったところがウェットの上から少し切れた程度ですんだ。友人Bと数名のギャラリーに私は「大丈夫、大丈夫」なんてひきつり笑いをしながら言ったが誰も笑ってくれない。友人Bは私に「あかんと思った」なんてことを言っていた。しばらくして友人Aもあがってきたがその後の会話はあんまりはっきりと憶えていない。多分生きてる喜びで人の話なんか聞いていなかったのだと思う。(1990.12月のお話)
 そんなことがあって数年後のことである。ず〜と付き合いのある友人A(大学を卒業して出身地である大阪で当時お世話になっていたショップの堺店をオープンした。)とは毎年のようにその話を忘年会の時やショップに新人が入ってくる時なんかに「あんなことあったな〜、サーフィンやめるかと思ったわ・・・」ってな感じで語っていた。その日もたまたまその話題になり当時の状況をペラペラ話していたのだが友人Aが今までに言ったことのないわけのわからんことを言い出した。「あの時は若かったしな〜、○○君にはちょっと早いと思っとてん。でも一人で入るの心細かってん」(+_+)気絶、それまでは自分がどんくさかっただけで友人Aが私をそれなりに認めてくれていたんだなんて思っておったが、私は悪友Aの心細さを解消する為に入らされただけであったことがその時初めてわかったのである。「それってやったらあかんことちがうの」「運悪かったら死んどるやん」「俺って事故があった時によくいう無謀なサーファーやん」という言葉が浮かんだが何年も前のことですっかり笑い話になっていたし、たまたま無事だっただけかもしれないが岩場にもまれるまでは悪友Aのおかげでめったとない大波に乗ることが出来たのだからという気持ちがあったので意外と怒りはなかった。

  悪友Aの暴露話は半分おまけでいいのですが私はビギナー時代のこのような体験をしました。そしてこの体験でサーファーとして反省すべき点はあるんだろうかなんてことをよく考えます。始めて3ヶ月(学生だったので週3ぐらいのペースでした)で無謀だと言う人もいるかもしれませんが私は単純にそうは思いたくありません。友人Aの「ちょっと早いと思っとてん」という言葉も結果論でありどう考えても無理という状況なら心細いという理由だけでは私を入らせなかったと思うし「サーフィンやっとたらそんなこともあるよ」ってのが本心ではないかと思います。それに、たまたま助かっただけだとは私は思ってません。友人Aの「潮が引いてるから気付けや―」という一言がなかったら正直どうなっていたかわからりませんが、少なくとも危険であるという予知は出来ていたので冷静に判断しようという気持ちは多少あったように思います。あれが全く予知のないままでパニック状態になっていたならば意識の違いで結果が随分変わっていたのではないかと思います。無理矢理自分を正当化するようですが実際に死亡事故などに繋がるケースの殆どが恐怖心が全くないくらいに海そしてポイントの特性を知らなく、それを注意する人もいない状況から発生しているのではないでしょうか?サーフィンの場合ある程度のチャレンジ精神がないとうまくなれないし、大波に挑戦するってことがサーフィンの醍醐味でもあります。だから、恐怖心バリバリでエキスパートと一緒に入り結果的には危険な目に遭いましたがそんなこと以上にサーフィンを楽しんだ記憶が残ってる自分はあれはある程度正当なチャレンジであったと主張したいし、完全に否定してしまうとサーフィンそのものを否定してしまうようでいやなのです。私の知っている上級者といわれる人もみんな「死にかけたー」なんていう危ない体験をしているし世間一般的には無謀(よく考えずに行うこと:大辞林より)な挑戦であっても死ぬことだってあるということを考えた上で海に入ったのならサーファーの間では、無謀な挑戦とは言わないのではないかなんて思っております。最も危険であり悔やまれるような事故は無謀な挑戦という言葉を使うより無知の挑戦という表現をすべきなのではないでしょうか?事故事例等を全く知らず死ぬことだってあるという意識を持たずにサーフィンしている人が意外と多いような気が致します。ビギナーに技量をわきまえて海に入ろうとか海にはカレントがあるとか潮の満引きがどうとかいきなり言っても難しいので死ぬことを覚悟の上でのチャレンジならOKってことで私はいいと思います。そんなこといってもなかなか死ぬのなんて簡単に覚悟出来るはずがないし死ぬ覚悟をするぐらいの恐怖心があれば必死で波の性質やトラブル時の対処法を考えるようになりそのポイントで自分が波乗りを楽しめるかを冷静に判断出来るようになるのだと思います。私達の取った行動はそう考えると最低限の死ぬことだってあることぐらいはわかっていましたが結局勢いだけで事前にもう少し友人Aと対処法等を話し合ってから入るべきだったんでしょうね!「あの時は若かったしな〜」という友人Aの言葉はそういう意味であって、現在自分がサーフショップのオーナーである反省の弁であり決して心細かっただけではないと私は今でも信じております。(結構こだわる)でも、あれで1本も乗らずにあんな目に遭ってたらこの文も悪友Aへの憎しみだけの内容で実際にサーフィンをやめていたかも!たまたまサーフィンを楽しめたのが結果論???友人Aはやはり悪友?なんかようわからんようになってきた。まあどうでもいいや、でも間違いなく言えることは10フィートオーバーのような波へのチャレンジの場合、私が経験したようなレベルで死にかけたなんて言ってると笑われてしまいそうだし、バランスのスポーツなんて言うけど平衡感覚なんかよりもいろいろな気持ちのバランスを取ることの方ががめちゃめちゃ難しいスポーツなんだと思います。ちなみにこの文を読むと私が意外と気合の入ったビッグウェイバーと思う方もいるかもしれませんが、あんなことを経験してサーフィンは危険であるという意識が強くなりすぎたので大波(特にリーフ)へのチャレンジ精神が抑制されたままになりいつまでたってもへたくそサーファーです。とことん安全にこだわってサーフィンを楽しみたい方は是非一緒に海に行きましょう!
  
 
文章能力が非常に乏しく、だらだらと長いだけで意味不明のところも多かったかと思いますがここまで読んでくれた方には大変感謝致しております。せっかく読んで頂いたのですから是非感想やあなたの恐ろしい体験談がございましたら掲示板の方に書き込んで下さいますようお願い致します。本当にありがとうございました。(平成12年7月22日)


戻る